所有者不明土地に対する国の対策

 

前回、所有者不明土地について、色々な法的対策が実施されてきたことについてふれていました。

今回はその点について書きます。

 

1.平成30年6月6日に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立しています。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000022.html

 

この特別措置法では、登記官が、所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記がされていない土地について、登記簿、住民票、戸籍などの公的書類を調査し、亡くなった方の法定相続人等を探索したうえで、職権で、長期間相続登記未了である旨等を登記し、法定相続人等に登記手続を直接促すことなどの不動産登記法の特例が設けられました。

 

行政機関においても、土地の所有者の探索のために必要な公的情報 (固定資産課税台帳、地籍調査票等)を利用できることとなっています。

 

また、所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求することができるようになっています。

 

実際、この法律により、法務局から以下のような「長期間相続登記がされていないことの通知(お知らせ)」が届いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この通知の内容についてはこちらのQ&Aをごらんください。

http://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/tyoukisouzokutoukimiryoutuuti.html

 

 

2.次に、一定期間に限られていますが、相続登記の登録免許税の免税措置がもうけられています。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html

 

まず、個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において,当該個人が相続登記をする前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされていました。

 

要するに、たとえば、AからBに相続され、BからCへと所有権が移転したが、登記がAの名義のままとなっている土地について、Cが自分の名義に変更する際、AからBの相続登記については登録免許税が免除されることになります。

 

また、法務大臣が指定する市街化区域外の土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地について、平成30年11月15日から令和3年3月31日までの間に、相続による所有権移転登記を受ける場合には,登録免許税が課されないこととされていました。

 

 

3.その他、令和元年5月17日、「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」が成立しています。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000027.html

 

これは一般の方にはあまり直接は関係がないかと思いますが、不動産登記の表題部の所有者欄が正しく記載されていないものについて、登記官に所有者の探索のために必要となる調査権限を付与することや、探索結果を登記に反映させることについて、不動産登記法の特例がつくられたり、また、探索の結果、所有者を特定できない土地について、裁判所の選任した管理者による管理を可能とする制度が作られています。 

 

このように見てくると、所有者不明土地の問題がいかに重大で、国がその対策について本気で取り組んでいるかがよく分かりますね。

 

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