民法の相続法制の改正〜配偶者短期居住権が創設されました(2)

前回に続き、配偶者短期居住権に関する記事です。

 

配偶者が居住建物の遺産分割に関与しない場合の取扱いについて、ご説明します。

配偶者が被相続人の建物に相続開始時に無償で居住していた場合に、被相続人が居住建物を第三者に遺贈したときや、配偶者が相続放棄をしたときなど、配偶者が居住建物の遺産分割に関与しないときは、配偶者は、居住建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、配偶者短期居住権を有することになります。

ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は欠格事由に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでありません。

 

他方で、居住建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができ、その申入れをした日から6か月を経過すると、消滅することになります。

 

〜被相続人が居住建物を他の人に遺贈した場合や、被相続人が死後に配偶者が建物を継続して無償使用することについて反対の意思表示をしていた場合であったとしても、配偶者は最低6か月間は、引き続き無償でその建物を使用することができることになります。

 

注意点です。

配偶者短期居住権については、以下の点には留意しておきましょう。

 

・居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分についてのみ無償使用できることになります(この点は、配偶者居住権とは異なります。)。

 

・配偶者短期居住権は、譲渡することができません。

 

・配偶者は、他の全ての相続人の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができません。

 

・配偶者短期居住権は、その存続期間の満了前であっても、配偶者が死亡したとき又は配偶者が配偶者居住権を取得したときは、消滅します。

 

・配偶者短期居住権に基づいて無償で使用、収益をするに当たっては、できることや守らなくてはいけないことなどについて、法律で細かな規定が定められています。

 

配偶者短期居住権について、大体のことが分かってもらえたでしょうか?

 

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