前回からの続きです。
重加算税の賦課決定処分を取り消した国税不服審判所の平成30年5月31日裁決についての記事となります。
裁決の内容はこちらをご確認ください。
http://www.kfs.go.jp/service/JP/111/02/index.html
個人的には、本件の裁決を見て、改めて以下のようなことを感じました。
税務署が納税者に対して重加算税を課すには、「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」(国税通則法68条)に該当することが必要となります。
しかし、この事実の隠ぺい又は仮装という要件については(純粋な事実関係のみに基づいて直接的に認定されるような場合はともかく)、本件のように法令上の解釈や法律上の要件への当てはめが介在する場合には、事実の隠ぺい又は仮装があるとの認定が通常よりも困難となる、ということです。
本件では、税務署は「請求人が、本件貸倒損失額について、寄附金の額に該当することを認識していた」ことまで立証しなければなりませんでしたが、本件の事実関係の下では、寄附金に該当するか否かは高度に法律的な判断といえますし、そもそも当事者の認識を立証するのは必ずしも簡単ではありません。
本件では、税務署はその立証に成功しなかったということになります。
逆にいえば、納税者としては、法解釈や抽象的(規範的)な要件への当てはめが問題となるような事案において、重加算税を税務署に課されたのであれば、すぐに諦めず、処分を争えないか、検討してみるとよいかもしれません。
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