5/9に、注目の競馬所得脱税事件の大阪高裁判決が!

 GW後の5/9には、競馬ファンも税務関係者も注目している判決が大阪高裁で出されることになっています。競馬による所得を国に確定申告していなかったために起訴された男性の所得税法違反被疑事件の判決です。
 

 国は基本的に、競馬による所得はパソコンを利用して継続的・反復的に馬券の注文をしている場合でもあくまで「一時所得」であって、その経費となるのは当たり馬券の購入金額のみであるから、外れ馬券の購入金額は経費として認められないという立場を取っており、今回の事件でも検察側はこの前提に立って脱税額が計算しています。実際には、払戻金が約30億円で、馬券の購入金額が29億弱であり、その差額は1億4000万円ほどだったにもかかわらず、被告人は約5億7000万円の脱税をしたとして起訴されたため(※刑事事件とは別に課税処分もされています。)、競馬ファンも巻き込んで大変な論争が起きているわけです。
 一審の大阪地裁は、一般論としては馬券購入による所得は反復されていた場合であっても一時所得であるとしながら、被告人の場合は、馬券購入が一般と異なり、多数・多額で機械的、網羅的なものであること、過去の競馬データの詳細な分析結果等に基づき、利益を得ることに特化したものであることなどから、その所得は雑所得であり、外れ馬券の購入費用も必要経費に当たるとしました。その結果、脱税額は約5200万円と認定され、懲役1年の検察官の求刑に対して、懲役2月・執行猶予2年の刑が言い渡されました。これは、納税者側の主張が相当程度認められたものといって良いと思います。

 

 さて、二審の大阪高裁が大阪地裁の判決を支持するのか否か、今後も同種事案の行政訴訟(税務署長が上記見解に立って行った課税処分の取消しを求める訴訟)が進行する見込みであるだけに、私も5/9の大阪高裁の判決には注目しています。