損害賠償金に課税された方、諦めるのは早いかもしれません!

神戸地裁は、今月13日、旧ライブドアの粉飾決算事件で株価暴落の被害を受けた方が、損害賠償請求訴訟を起こした結果、同社から支払いを受けた和解金約1億数千万円に約3900万円の課税をしたのは違法であるとして、課税処分の取消しを求めて国を訴えていた訴訟について、不法行為に基づく損害賠償金は非課税であるとして、和解金のうち遅延損害金に対する約1000万円の課税を除いて、残り約2900万円分の課税処分の取消しを命じる判決をした、との報道がされています。

これは、和解金が、所得税法施行令30条2号「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金」に該当するため、所得税法9条1項16号(現17号)により非課税所得になるという判断でしょう。

尚、遅延損害金部分については、裁判例でも一般に雑所得と考えられており、今回の裁判例でも非課税とはされていません。

 

以前には、商品先物取引、外国為替証拠金取引(FX取引)に関して被害者が受け取った和解金や損害賠償金について、非課税とされた裁判例(名古屋高裁平成22年 6月24日判決、福岡高裁平成22年10月12日判決、平成23年6月23日裁決)があります。

 

このように、金融取引に関する損害賠償金(和解金)に対して課税処分がなされる例は少なくなく、損害賠償金を得た後の申告の要否については注意したいところです。特に、和解金については課税処分を受けやすいため、和解に至る経緯が明確に分かる形で書面を残しておく必要があり(裁判所から、その時点での一定の見解を記載した和解案の提案書を出して頂くのがよいかと思われます。)、和解金の名目も解決金とするのは避けて損害賠償金としておいた方が良いかと思われます。

 

他方で、ある収入によってマイナスの状態が元の状態に復元されただけならば課税しないとの原則的な税法の発想は、裁判官にもストレートに伝わりやすいため、税務訴訟において、この損害賠償金の非課税所得該当性という問題については、他の問題よりも納税者勝訴の可能性が高いともいえそうです。

ですので、課税処分を受けた方は、すぐに諦めないで、まずは税金に詳しい専門家にご相談頂いた方が良いと思われます! 

 

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