固定資産税が高すぎるので争いたい!という場合に検討すべき点

 最高裁第二小法廷は、今年の7月12日、固定資産税について、固定資産課税台帳に登録された土地の価格(以下「登録価格」といいます。)が、固定資産評価基準(総務大臣の告示によって定められるもので、以下「評価基準」といいます。)に基づいて算定される価格を上回る場合には、当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず、その登録された価格の決定は違法となるという判断をしました。

 「土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは、当該登録価格が、(1)当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るときであるか、あるいは、(2)これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合であって、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るときであるということができる。」というものです。

 これまでも最高裁は、土地の登録価格が客観的な交換価値としての適正な時価を上回れば登録価格の決定は違法となるという一般論を示していましたが、今回の最高裁判決は評価基準との関係をより明確にしたところに特に意味があると思います。


 今回の最高裁判決によると、
(1) 登録価格が、評価基準にしたがって算定される価格よりも高いとき(※登録価格が適正な時価より低くともよい)
(2) 評価基準による算定をすることが適切でなく、かつ登録価格が適正な時価よりも高いとき
には、登録価格の決定が違法となることになります。

 

 そうすると、これから登録価格について争おうとする側としては、まずは評価基準にしたがって登録価格が算定されているといえるか否かを検討し、次に、そもそもその評価基準によって登録価格を算定するのが適切でないといえるか否か、適切でないとすれば、さらに登録価格が周辺の取引価格や鑑定価格等から導かれる適正な時価を上回っているか、を検討することになります。

 

 さて、今回の最高裁判決によって、上記(1)に該当することについて立証に成功すれば、登録価格を評価基準に沿った価格へ引き下げさせることが可能であることが明らかにされたわけですので、今後、登録価格について争うか否かを検討する側としては、客観的な時価の追求も重要ですが、まずは、評価基準に則って算定されているかを綿密に検討することが必要不可欠であるといえるでしょう。

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