損害賠償金の課税、消費税にもご注意を。

前回、金融取引に関する損害賠償金(和解金)に対する課税処分についてお話ししましたが、昨年は、東日本大震災による東京電力から支払われる賠償金にもやはり税金がかかるのかが話題になっていました。

 

震災に関する税制上の取扱いについては特例的なものもありますが(国税庁のHP「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて」参照)、東電からの賠償金については、「東京電力㈱から支払を受ける賠償金の所得税法上の取扱い等について」に記載されているとおり、基本的に、所得税法の規定通り、通常の損害賠償金と同様の考え方で整理されているものといえます。

したがって、

  1. 人の心身の損害(人損)に対する慰謝料その他の賠償金や、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害(物損)に対する賠償金は、非課税になります。
  2. ただし、必要経費を補てんするための賠償金(営業損害のうち追加的費用、業務用資産及び棚卸資産の検査費用に対するもの)や、営業損害のうち減収分の逸失利益に対する賠償金(棚卸資産の喪失又は減少に対するものを含む。)は、事業所得の収入金額に算入することになります。
     もっとも、前者については、賠償金は収入になりますが、必要経費も控除されますので、実質的には所得は増加しません。
  3. また、給与の減収分に対する賠償金は、雇用主以外の者から支払を受けるものであるため、一時所得の収入金額になります。

なお、賠償金については、国税庁のHP「No.6257 損害賠償金」に記載されているとおり、実質的に資産の譲渡等があったとみられる場合には、消費税がかかる場合があるとされていることにも、ご注意を!

 

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