秋の交通安全運動

 来る9月21日(土)から30日(月)まで秋の全国交通安全運動が実施されます。

 さて、以前の記事で自転車故の恐さについて少し触れていたところですが、今年7月4日、自転車と歩行者との衝突事故に関する裁判で、神戸地裁が、自転車を運転していた小学校5年生の少年の母親に約9500万円の賠償金の支払いを命じたことが報じられ、高額賠償であることや、子供の自転車事故をきっかけに自己破産の危険性があることが最近話題になっており、ご存じの方も多いと思います。

 

 

 そもそも、自転車は法令上も立派な車両で、損害賠償という点では基本的に自転車事故を自動車事故と区別して扱う必要はありませんし、頭蓋骨を骨折した被害者の女性の意識が戻らず、介護を要する状態になっており、一般的に介護を要する方への賠償額は死亡された方への賠償額よりも高額であることなどからすると、高額賠償であることにはさほど違和感はありません。今回の事故や判決については、たまたま報道の対象となっただけで、実際にはこれまでもこのような事例は少なからずあったのではないかと思われます。

 

 自転車事故が生じる原因には、もちろん我が国の法制度や道路状況等にもありますが、直接的には、自転車の危険性や自転車事故の重大性を理解していない運転者(及び運転者に対する指導)にあるといわざるを得ません。

 私が働く大阪市内でも、平地が多いためか、暴走ともいえる大変危険な走行を毎日目にしており、事故が起きないかと日常的に危険を感じているところです。事故が起きた場合には、とても不注意では済まされないような暴走(速度が異常に速い、人のすぐ側を速度も落とさずに突っ走る、携帯等をしながらの片手運転等)がいかに多いことか。しかも大人達がそのような危険な運転をしているのが実情です。

 自転車事故では、被害に遭うのが高齢の方であることが多く、それほどの衝撃でなくとも骨折に至り、事故が原因で寝たきり(さらには痴呆状態)になってしまうことも稀ではないため、たかが自転車の運転などと思わないで、重大な結果が生じる可能性があることを認識してもっと慎重に運転する必要があると思います。国民にそういった意識を持ってもらうための仕組み・教育が一層求められるところではないでしょうか。

 

 また、自転車事故の損害賠償における問題として、自転車事故の場合、加害者側に損害賠償責任保険があることが少なく、加害者あるいはその親が高額の損害賠償金が支払えないため、最終的に被害者が判決で確定した損害額の賠償を受けられないことが多い、という点にあります。自転車保険や個人賠償責任保険などは、一般的に保険料がそれほど高いものではないので、是非加入すべきものだと考えます。ちなみに、私が以前から加入している個人賠償責任保険の内容を改めて確認したところ、月額120円の保険料で、家族の日常生活での自転車事故について無制限(国外1億円)の賠償責任が補償されるという大変リーズナブルなものとなっていました。自分や家族が自転車に乗る方は是非保険に加入して下さい。

 なお、私は、誓って、保険会社の回し者ではありません(念のため。)!

 

 さて、国も自転車事故については問題意識を強く持っており、色々と対策を検討しているようですが、今回の裁判の結果も踏まえて、早急に法制度、道路整備、取締り、交通教育、大々的な自転車事故防止(「撲滅」といいたいところですが。)キャンペーン等を行い、自転車事故が起こりにくい仕組みを整備すると共に、自転車を運転する国民の意識を高めていく必要があると思います。

今回の全国交通安全運動では、自転車運転者への指導にも注力して頂きたいですね。