キャッシュカードのスキミングにご用心(預金者保護法)

 ある銀行の正規ATMに巧妙に取り付けられたスキミング用の機械で、キャッシュカードがスキミングされるという事件が起きています。このようなスキミング等による預金者の被害を救済するための法律として、預金者保護法(正式名称は「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」です。)という法律があります。11条からなる短い法律です。

 この法律では、第三者が偽造のカード・預金通帳を使用してATM機・CD機などの機械で預金の不正払戻し(又は不正なカードローン)を行った場合には、預金者に故意があった場合か、預金者に重大な過失があって金融機関に過失がない場合に限り、その払い戻し(カードローンの場合は、借入れ)は有効とされ、それ以外の無効な払い戻し(又はカードローン)によっては、預金者の預金は減らないこととなり(カードローンの場合は、借入れは無効となります。)、預金者は不正払戻分(不正借入分)も含めて金融機関に払戻しを請求することができます(カードローンの場合は、不正借入分について返済の責任を負わないこととなります。)。

 その他、第三者が盗難したカード・預金通帳を使用してATM機・CD機などの機械で預金の不正払戻し(又は不正なカードローン)を行った場合にも、預金者が、すみやかに金融機関に盗難の通知を行い(盗難から2年内に通知する必要があります。)、金融機関の求めに応じて十分な説明を行い、警察に盗難届出を出したことを金融機関に申し出たなどの要件を満たしたときは、原則として、不正に払い戻された金額(金融機関が、自らに過失がなく、預金者に軽過失があることを証明した場合は、その4分の3が限度となります。)の補填を受けることができることとされています(カードローンの場合は、第三者による不正借入れの金額又はその4分の3について、返済の責任を負わないこととなります。)。なお、金融機関が、預金者に重大な過失があることを立証した場合などには、預金者は補填を受けることができません(カードローンの場合は、第三者による不正借入分について返済の責任を負うことになります。)。

 

 以上のように、預金者保護法は、一般の方にとっても有益な法律ですので、知っておかれると良いと思いますが、預金者保護法は、預金者が法人である場合、窓口での払戻しである場合、詐欺によってカード等が取られた場合、カード・預金通帳を使用しないネットバンキングによる預金の引き出しの場合などには適用されず、また勘違いされやすいところですが、信販会社のいわゆるクレジットカードのスキミング被害については適用されないという点には注意してください。