所有者不明土地等の解消に向けた民法等の改正(1):遺産分割の制限

以前、以下のような記事を書いていました。

 

相続登記の義務化が予定されています

 

このときに民法の改正が検討されていることを書いておりましたが、本年(令和3年)4月21日に改正法が成立し、同月28日に公布されています。

施行日は公布後2年(一部3年ないし5年となっています)以内の政令で定める日となっており、具体的にはまだ未定です。

施行はまだ先となりますが、最終的に成立した法律の中身について、何点か注目点をご説明していきたいと思います。

 

 

まず、今回は、長期間経過後の遺産分割における制限について、ご説明します。

もともとは、遺産分割協議がされないまま死後一定期間が経過すると、法定相続分どおりに遺産分割がされたものとするといった案もありましたが、結局、成立した法律では、死後10年経過後は、裁判所では、原則的に法定相続分による遺産分割しかできない(=遺産分割の際に特別受益や寄与分の主張を原則認めない)、という内容になりました。

 

もっとも、裁判所外での遺産分割、つまり遺産分割協議では必ずしもこのとおりに分割する必要があるわけではないので、今後も特別受益や寄与分を考慮した遺産分割協議をすることが妨げられるわけではないでしょう。

 

また、上記の改正と同時に、死後10年経過後は、相続財産である共有持分についても、遺産分割ではなく、共有物分割の手続きによることもできる(相続人が一定の期間内に異議の申出をしなければ、ですが)、ように改正されています。

 

次回に続きます。

 

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