財産分与の無効等、変更について

 財産分与の無効、取消、解除

Q 財産分与については合意できたが、協議離婚自体が成立しなかった場合、前の財産分与の合意はその後も有効?


A 合意としては解除・解約されたものとみられることが多いが、裁判所がその内容を尊重して財産分与について判断をする可能性は十分ある

 

Q 財産分与についていったん合意したが、取り消したい。「書面によらない贈与」、あるいは「夫婦間契約」であるとして取り消せるか?


A いずれにも当たらず、取り消せない(最高裁)。


  相手方の合意が得られるなら合意解除は可能。あるいは、合意が錯誤又は詐欺・脅迫によるものなら無効又は取消しが可能。

 

Q 財産分与についていったん合意したが、相手方が約束を守らない。「債務不履行」として財産分与の合意を解除できるか?


A 財産分与の債務不履行解除を認めない裁判例があることに注意(その場合には、強制執行等で財産分与の内容の実現を求めていくことになる)

 

Q 夫は、妻に財産分与をしたら、自分ではなく、分与を受ける妻に多額の税金がかかると勘違いしている。妻はこのまま財産分与の合意をしても大丈夫?


A 財産分与が錯誤による無効なものとされるおそれがあることに注意(錯誤無効を認めた最高裁判例あり)

 

Q 妻に一方的に有利な内容で合意(現実には夫は支払いが困難な内容)をした。妻は約束通りの請求ができる?


A 事情によっては妻の請求が「権利の濫用」として一部の請求が認められない可能性あり

 

【※】財産分与が無効等とされた場合、改めて財産分与のやり直しが必要となるが、離婚後2年の期間制限によって結局やり直しもできないということになりかねないので、要注意!

 

 財産分与の事後の変更

 いったん財産分与をした後、紛争の蒸し返しとなるような再度の財産分与の申立があった場合、裁判所はその申立てを認めない(却下する)のが通常

 財産分与後に事情の変更があったとしても、基本的には財産分与の内容の変更は認められていないが、将来にわたって定期的な支払いがされることになっていた場合には、将来分について額の変更が認められる場合もある

 財産分与後に見つかった新たな財産については、当初の財産分与の対象となっていないから、新たに財産分与の申立てが可能
とされているが、2年の期間制限があることに注意。2年経過後は、財産を隠していた相手方に対する損害賠償や不当利得返還の請求等、財産分与以外の方法で対処することになる。