分与前の財産の保全について

 財産分与(婚姻費用分担、養育費)について決まるまで、分与が実行されるまでの間、相手方による財産の処分を防ぐ必要がある場合に、財産を保全するための措置がいくつかある。

  1. 調停前の仮の処分(家裁)
    
調停中に調停委員会が行う保全処分だが、違反には10万以下の過料の制裁があるのみで、強制執行ができない、調停の終了とともに失効するなど、実効性に問題あり。
  2. 審判前の保全処分(家裁)
    財産分与、婚姻費用分担などの審判ができる事件の調停・審判を行っているときに、申立てができる。調停中でも「審判前」なので、申立て可能。相手方の財産に対する保全処分には、保証金の納付(供託)が求められるのが通常。民事保全と同様、強制的に執行できる。
  3. 民事保全(仮差押・仮処分)の申し立て(家裁・地裁)
    強制的に執行できるが、高額となる保証金がネックとなることも多い。
    また、財産分与については、婚姻費用・養育費のような特例の適用がないため、原則どおり、相手方の給与・賞与・退職金の4分の3(原則)は仮差押えができない。
  4. 財産分与請求権を保全するため、相手方配偶者が財産分与を免れるためなどの目的で行った第三者への贈与等を取り消せる場合がある

  5. 財産分与の協議成立後又は裁判確定後は、その実現を求めて強制執行ができる場合があるほか、相手方配偶者が第三者に対して持っている権利を相手方配偶者に代わって行使し、財産の引渡し(返還)を求められる場合がある

Q 離婚後、財産分与の協議前に、相手方が死亡した。相続人に対して財産分与の請求はできない?
A 離婚後の財産分与義務は相続の対象となるので、離婚後2年以内であれば、相続の放棄をしなかった相続人に対して財産分与の請求ができる。
 なお、逆に財産分与を請求する側が死亡した場合、財産分与請求権は相続され、相続人が財産分与を請求できる。