Q 別居時に一方が現金等を持ち出している場合、その現金等は財産分与の対象となるか、現金等の持ち出しは違法な行為ではないのか?
A その現金等が夫婦共有財産ならば、それも財産分与の対象とした上で、その分を既に分与済みとして扱うことになるのが通常。また、夫婦のそれぞれの持分2分の1を超えない範囲の財産の持出しは違法な行為ではないとされている(損害賠償金の支払義務はない)。
離婚に至る過程は長期間に及ぶことがあり、「対象財産の評価額をいつの時点の評価額とするか」が重要な問題となる場合がある。なお、「財産分与の対象はいつの時点での共有財産か」という問題もあるが、それとは別の問題。
最高裁は、「裁判の口頭弁論終結時」(※判決前の時点)の双方の財産状態を考慮して財産分与の額・方法を定めるとしているが、対象財産の評価額を口頭弁論終結時とすべきとまで明言しているわけではない。
実際「対象財産の評価額をいつの時点の評価額とするか」については、様々な見解、取扱いがあり、以下では実務上採用されることが多い取扱いを記載する。
分与の時期 | 分与の額 |
離婚時 |
・定年退職時の退職金を現在の価値に引き直した額 ・離婚時に退職した場合の退職金の額 |
退職時 |
・定年退職時の退職金 ・離婚時に退職した場合の退職金の額に一部加算 |
Q 資産=自宅2000万・夫名義、負債=ローン2500万・夫名義の場合、財産分与はどうなる?
A オーバーローンで資産は0、資産を超える負債500万円について夫は妻に分担を求めることはできない。
Q 夫名義の住宅について、夫が働いて得た口座から全額ローンの返済がされていた場合、この家は財産分与の対象となる?
A 婚姻期間中の住宅ローンなどの返済は、一般的には夫婦平等の割合でされたものと評価され、「自分が全部ローンを払ったからこの家は俺の物だ」という夫の主張は通らず、財産分与の対象となるのが通常