生まれる前の胎児も相続できる場合があります

ご存じですか、生まれる前の胎児も相続人となれる場合があります。

民法第886条1項は、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と規定しています。そのため、胎児の親が胎児出生前に死亡した場合であっても、その相続との関連では、胎児は既に生まれた子どもとして取り扱われ、相続人となることができるのです(もっとも、不幸にも生まれてこなかった場合には,当初から相続人ではなかったことになります。)。 これを知らずに(忘れて)、胎児を相続人に含めずに、出生前に遺産分割協議をしてしまった場合、その協議はどうなるのでしょうか。

一部の相続人のみでなされた遺産分割協議は基本的に無効となりますので、胎児を除いてなされた遺産分割協議は、後に胎児が出生した場合には、無効になると一般的には理解されています。そうすると、出生前に遺産分割協議をしても無駄になってしまう可能性があるので、出生前に遺産分割協議をするのは控えた方が無難、ということになります。

とはいえ、相続税の申告期限は、死亡を知った日の翌日から10か月以内ですので、申告の必要がある場合、出生後は速やかに遺産分割協議から申告・納付までを終えなくてはならないことになります(遺産分割協議がまとまらない場合,間に合わない場合には、とりあえず法定相続分で申告・納付をすることになります。)。

考えてみると、過去になされた遺産分割協議でも、専門家が深く関わっていないものなどは、胎児に相続人の資格があることを前提にせずになされてしまっているものが結構存在するのかもしれませんね。


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