国税通則法の改正(更正の請求・増額更正の期間延長)

 前回も国税通則法の平成23年改正に触れましたが、その中で特に実務上重要な点について触れておきます。平成23年12月2日以後に法定申告期限が来る国税については、「更正の請求」ができる期間が、原則として法定申告期限(たとえば所得税や贈与税なら翌年の3月15日です。)から「5年」に延長されています。

「更正の請求」は、「納税者が提出した申告書に記載した課税標準等(所得金額などです。)又は税額等の計算について、税法の規定に従っていないとか計算誤りがあったことによって、申告税額が過大なものとなっていた場合」などに、税務署長に対してその是正を求めるもので、従前は1年が期限でしたので、今回の改正によって大幅に期限が延長されています。これによって、納税者が払い過ぎた税金を取り戻すことができる期間、機会が増えたことは間違いありません。

 他方で、同じく平成23年12月2日以後に法定申告期限が来る国税について、税務署長等が増額更正処分をすることができる期間も、原則として法定申告期限から「5年」に延長されていることも忘れてはいけません(改正前は3年でした。)。納税者や税理士の方にとってはむしろこちらの改正の方が重要だという方もいらっしゃるかもしれません。

 結局、納税者・税理士側にとっても、税務署側にとっても、納税者の申告が一旦終わったとしても、法定申告期限から原則5年間は増額又は減額の更正の可能性があるということを常に念頭に置かなければならず、納税者に対する税務調査の際の負担も従来以上に増える場面があるのではないかと思われます。

 

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